世間体にこだわる母親

「周りにどう思われているか」が家族に対する評価であり、それが自分の評価や功績である母親。
恐らくこの場合、父親もその傾向がありそうです。

外見、ステイタス、学歴などをレベルを落とすことはできません。
子どもにはブランド服を着せるとか、名門校に通わせるとか、娘の彼氏のステイタスも見逃すわけにはいきません。
つまり、子どもも自分にとっての「ステイタス」だからです。
周囲から見れ、それはそれは理想的な家庭で外ヅラがいいですが、家庭内の愛情は薄い仮面家族。

母親の口癖は

みっともないことはしないでね

世間に笑われるわよ

そんなこと・・・あぁ恥ずかしい・・・

周囲の評判を落とすようなことはあってはならないので、常に家の中はピリピリとしています。恐らくその一番の犠牲者は子どもたちです。

人を見下すタイプに育つこともあります。ほら、いつぞや話題になった「ナッツ姫」はこのタイプです。ナッツ姫タイプの方はご相談にはおそらく来ませんので、ここでは母親から人が羨む姿を強要され抵抗できなかった娘さんのことをお話しします。

常に母親からのOKをもらわなければいけないので自分の意見がありません。実は「辛い」と気づく女性はまだいい方で、衣食住に困ってきたわけではないので、母親からの過干渉が何らかの不調として表れていても気づいていません。

いつ母親から人格否定されるのではという緊張感が常にあるのですが、「何不自由なく育ててくれたし・・・」という思いで帳消しになってしまっているからです。時々テレビに出ている「姉妹のような母娘」を見ると心配になります。仲がいいのは悪いことではないですが、パワーバランスとして娘のほうが頑張ってはいないだろうかという老婆心からです。周りからの羨望という報酬は受け取っているので、気づくのが遅れるかもしれないからです。

万が一、母親に真っ向から否定されたり、社会に出て人間トラブルを抱えたりすると、外聞を気にするあまり引きこもってしまうかもしれません。

パートナー選びでも、母親から文句を言われない相手を探すのが最優先事項ですから自分の好きは後回し。
これでまた愛のない家庭が出来上がります。

愛情が薄い緊張感だらけの家庭で生きづらさを感じ結婚に希望を持てないでいるのに、世間体のために結婚はしなければいけない、と思い込んでいる女性もいます。
結婚してから初めて自分の持ち続けてきた違和感と、母親との共依存に気づいてご相談にいらっしゃる方も実際います。

この葛藤から抜け出すためには「自分がどうしたいのか」を考え行動することを良しとしなければいけません。ちょっと時間はかかると思います。それは母親への初めての反抗心を表明することになりますからね。

自分の中にある緊張感をほどきながら、遅れてきた反抗期を経験すれば、母親からの自立が見えてくると思います。