怒りは麻薬並み。

私が離婚したのは10年も前ですっかり記憶もおぼろげです。
単に時間が経ったからではなく、あの頃あった怒りや悲しみが記憶と結びつかないからです。
 
もちろん離婚直後はパートナーに対する怒りに満たされていました。私は会う人会う人に離婚の事を話していました。
いかにパートナーが無能で、私はどれだけ辛い思いをしたのか。彼はまったく気遣いができず、そのために言い争いが絶えなかったか。
さまざまな友人が話を聞いてくれましたが、今思い出すと皆口をそろえて「まるで…コントだね」と苦笑い。
私も話が止まりません。
でしょ!でも笑えないけどね!ホントにトンチンカンなのよ!
 
今思うと…我を忘れていたな…
 
どこか快感を覚えていた自分がいました。ずっと溜めこんでいたエピソードを怒りと共にぶちまけている私は、パートナーの価値を下げるエピソードを興奮しながら話している。離婚できた自分は偉い!とさえ感じていたものです。
どこ基準で何が「偉い」なのか今振り返るとよくわからんけど…
  
怒りは発散や爆発をするときに多分興奮ホルモンが出るのよね。それでスッキリしたような錯覚が起きるのです。ところが日が経つにつれて友人には語り尽くしもうネタはありません。
すると再び自分の中には怒りが貯金され始めました。目の前にはパートナーのいない新生活が始まっているのに怒りは相変わらず再現されます。
 
あの時言われた言葉や態度に傷ついていた自分がリアルに浮かびます。その度に涙と怒りが止まらなくなりました。
そんな風ですから周りとも上手く関われなくなってきました。結婚している期間から周りとトラブルを抱えて心身がおかしくなっていました。離婚して解決したと思っていたのに時代は悪化するばかり。
 
怒りの反動でヤケになって酒を煽ったり食生活も乱れて体調は更に悪くなっていました。元パートナーに髪型が似ている人を見ただけではらわたが煮えくり返ったり、一方でココロが揺らいだり・・・いったい何をやりたいんだか。
そんな数年を過ごしました。
 
おいおい私はいつまでカサンドラでいるんだ?
ある日そう気づきます。

今更彼のせいでこの状態になったとは流石に言えないだろ。いつまでも相手のせいにしていて何か解決したことはあるのか?そう考えるようになりました。
この怒りにいつまで酔いしれているんだろう。これ…必要なのか?
やっと怒りを手放す試行錯誤が始まります。
  
薬断ちならぬ怒り断ちですな。
  
今あれほど「読むもんじゃねえ」と言っている自己啓発本も読み漁りましたし、スピリチュアルにも手を出しましたし、セミナーに参加しようかと迷ったことも…多くの人がたどる道を私もしっかり通ってきましたのよ ホホホ…。
  
怒りや寂しさと言った負の感情から解放される方法を見つけ、自分の内面と向き合うことができるようになり、急速に環境が変わったのを覚えています。
あれほどフラッシュバックしていた元パートナーとの諍いの日々は、次第に記憶から消えていくと周りからの私の印象がどんどん変わりました。
「ミヤウチさんって癒し系ですよねぇ…」と言われだした頃です。「癒し」なんて言葉私の歴史の中で記念すべき初登場(笑)
 
今未練があるわけではありません。ただ怒りに振り回された私の態度は、間違いなく元パートナーに悪い影響を与えていたと思っています。怒りをまず手放すことが出来たら離婚は回避できただろうとも。
そもそも結婚のパートナーとしては選ばなかったかも。ま、ここら辺は推測の域を出ません。人生で選べるのは一つだけですからね。
 
離婚の原因は一方だけにあるのではない。いつだって双方にあるのです。これは確かです。
私にとって長い長い葛藤でしたので、出来るだけ皆さんには最短の解決をしてほしいですね。