発達障害は遺伝する?
夫婦問題で「夫の親もよく似ているから発達障害ではないかと思う」とお聞きします。
遺伝子上、親子関係が立証されていれば何らかの特性は引き継いでいるかもしれませんが、発達障害が遺伝するのか、科学的な証明はされていません。
もちろん、脳の血流を調べたり、脳内伝達物質の分泌の違いを調べたり、様々な研究は行われていますが、どんな遺伝子が発達障害を誘発するかの証明はまだされていません。「親の気質と似ている」とは限りなく主観に近いので説得力に欠けますし、夫のふがいなさへの怒りをただ倍増させてしまっているだけのように思います。
私がよく言う、「無駄な闘い」の一つです。
遺伝子の変容が発見されたところで、夫婦の間の不満が消えるわけではありませんからね。
最近の研究では、一生変わるはずがないといわれていた遺伝子が生活環境によって変容のスイッチが入るということがわかり始めています。
2009年に発表された論文によると、性格が穏やかなイタリアミツバチと、どう猛なアフリカナイズドミツバチの子をそれぞれ入れ替えてみたところ、イタリアミツバチはどう猛に、アフリカナイズドミツバチは穏やかになったといいます。しかも遺伝子解析上の変化も見られたということです。
「性格は変わらない」と言いますが、変わるんですってよ。遺伝子レベルでね。
イタリアミツバチにどう猛な変容をもたらしたのはフェロモンらしいです。
そう考えると、いったい発達障害はどこで生まれるのでしょうか。そして、発達障害の診断はいったい誰のためにあるものなのでしょうか。
とても興味深いとは思いますが、人々の争いの種にだけはなってほしくないなと思いますね。