HSPの過剰診断には気を付けて
Highly Sensitive Person(HSP)は、心理学者エイダ・エル・アロンによって提唱された概念で、「過敏な人」と言われます。表面的には、以下のような特徴が挙げられます。
- 感覚的過敏性
- 環境刺激に対する高い感受性
- 微細な変化への敏感な反応
- 感情的な共感力の高さ
- 情報処理の深さ
- 深く考え込む傾向
- 細部への徹底的な注意
- 複雑な状況の多角的理解
- 感情的な脆弱性
- 強い感情体験
- ストレスへの高い反応性
- 心理的負荷への脆弱性
私はHSPの存在は否定はしませんが、何でもかんでも「過敏だから」で済ませてしまうのはどうかな?と思うのと、やたらとメンタルクリニックのHPで「生まれつきの気質」とか「人類の数パーセント(希少な存在である)」を強調しているのがどうも気に食わない、とイラっとする。感情をコントロールするヒーラーがイラっとしてしまっては怒られそうですが、私も人間なので…許してください。
本当に、それは生まれつきなのか?と何事も疑問に持つことが自分と向き合うプロセスです。
例えば、自閉スペクトラム症(ASD)の特性の一つである感覚過敏なら、まさに生まれつきです。
ですがパーソナリティ障害による感情の不安定さであれば生まれつきと後天性の両方かもしれません。
社会性不安障害だとしたら、これは社会との問題だし。
障害と言われたくないからとりあえずHSPと言っておこうという人も多いんじゃないかと…でも本来の解決方法を放棄してしまうことになります。誤診や過剰診断で自分を見失ってしまっていないか?今一度自分に問うてほしいのよね。
そもそも、HSPには、生まれつきであるという科学的エビデンスがほぼ「ない」わけですから。
人間を含めた哺乳動物の脳は「感情脳」とも言われていて、ほかの動物と大きく違うのは感情が発達したことです。ですが生まれたばかりの私たちは「感情脳」は持っていますが、あくまで「空容器」なのです。成長の過程で感情脳は育っていくと考えれば、私たちがHSPとして指している現象の多くは、後天的なものではないのか、というのが私の見解。
つまり、一つの価値観の下で感情や感覚が「こういうものだ」と操作されてしまっているのなら、変化させていくことも可能ではないでしょうか?
実はHSPさんからのご依頼で一番の難関は、本人が「HSPは生まれつきだから直せない」という強い思い込みで、ここを突破するとどんどん変化していきます。
敏感だからと言って、果たして他人の気持ちがわかるのかというと、読みすぎて外れている事のほうが多かったら、元も子もありません。
別にセッションで変化したといっても、鈍感になるわけではありません。時と場合に合わせて、気持ちの細やかさを発揮したり、あるいは手放したりできれば、HSPさんの魅力は格段に上がります。