ADHDの特徴や診断への注意点
ADHD(注意欠陥多動症)は、日本語に訳されている通り、不注意と多動が特徴として見られます。
ちょっと詳しくご紹介すると、
- 不注意(Inattention)
- 細部への注意が難しい
- 課題や活動の持続が困難
- 物事を整理することが苦手
- 指示に従うことが難しい
- 多動性(Hyperactivity)
- 落ち着きがない
- 常に動き回る衝動
- じっとしていることへの苦手意識
- 過剰な話し方や身体的な動き
- 衝動性(Impulsivity)
- 考えずに行動する傾向
- 順番を待つことの困難
- 他人の会話を遮る
- 衝動的な決定
・・・とまあ、こんな感じでしょうか。ですが本当の診断は更に
• 症状が6歳以前から存在
• 複数の環境(学校、職場、家庭)で症状が現れる
• 日常生活に重大な支障をきたしている
• 他の精神疾患では説明できない症状
といった条件を満たす必要があります。
う~ん、でもどうなんでしょう。大人になってしまってから、この条件を満たすには、相当な聞き取りが必要かと思います。親から情報を得ないとわからないこともありますし、親が「うちの子は問題ない!」と言って譲らなかったらどうするのかな・・・などと、考えてしまいます。
カサンドラ症候群の女性(以下カサンドラさん)とお話ししていて、「子供のADHDがわかって、保健士さんから『あなたもADHDなのでは』と指摘された」とおっしゃる方がいましたが、保健士さんの見ただけ診断で発達障害だと思い込まされてしまって、余計に自己肯定感ゼロの状態。このケース、本当に多いんです。
本当に発達障害の知識を持っている専門家は、見ただけでいきなり「発達障害だ」なんて言いません。
最近は発達障害というとASDよりADHDのことがよく取り上げらるように感じます。これも一種の流行なのだでしょうか?「人に迷惑をかけていけない精神」の日本人としては人様に迷惑をかけるような行動をする人=ADHDのような決めつけが一層強まっている感が否めません。
ADHDさんにもちゃんと心があります。うまく片付けられない、遅刻してしまった、すぐ忘れてしまう、などで周囲が怒っている事に気づかないわけがありません。今度は人に迷惑をかけないように、と頑張りすぎて、精神的なダメージを受けている人も少なくないからです。共存している精神疾患としてよく上げられるのは
• うつ病
• 不安障害
• 双極性障害
• 依存症
• 境界性パーソナリティ障害
などでしょうか。そして周囲の人はこれらの疾患とADHDの特徴を混同してしまっているため、より一層発達障害への理解の弊害になっていると感じます。
さらには、ADHDの症状とADHDのような症状では全然根本的な対応が違います。カサンドラさんもそうですが、日常のストレスで体調が悪く片付けがうまくできない、頭が回らなくて忘れ物をしがち…一時的な症状でも、本人は「ずっと私はこうだったんだ」と思い込んでいる場合もあります。
とにかくあふれている勝手な診断。これでは多様性の時代を逆行しているようなものです。
専門家への相談は必須ですし、セカンドオピニオンやカウンセリングも必要です。
「夫がADHDだと先生から言われたが『発達障害の人にカウンセリングは無駄』と言われた」とあるカサンドラさんから聞いた時には愕然としました…。こんなひどいことを平気で言うお医者さんがいるのは非常に残念です。