あなたは真のサバイバーなのか?
虐待や毒親を克服した人という意味でサバイバーという言葉がよく使われますね。
ご相談者様の中でもサバイバーです、とおっしゃる方がいます。
ただ思うのは実際には今でも人間関係で支障が出ていたり、自分への攻撃(摂食障害や自傷行為)や体調不良に表れているということは、この問題、解決してないよね…と思います。
サバイバー(=survivor)は克服した人ではなく、何とか生き延びた人止まりです。生き延びようと思ったからにはその先に幸せがないと、生きていてもただ辛いだけになってしまいます。
人によって表に出る形はそれぞれなのですが、せっかく優しいパートナーと巡り合えても心から甘えられていない、とか、いつか嫌われるのではと不安を抱えているなら平和な状態とは言えないでしょ?結局自分から幸せをぶち壊しに行くなんて話を聞くと、感情のコントロールができていないんだよなぁと私も悲しくなります。
私はかつてカサンドラ症候群でした。
当時は自覚はありませんでしたよ。カサンドラ症候群なんて言葉も知りませんでしたしね。
離婚してすぐは私も単なる生き延びた人のような生活でした。離婚しても自分の周りの人間関係がよくなったわけでもなく、変な男につかまったりして散々でした。そこで真のサバイバーになるべく自己変革の試行錯誤ののち、この経験を活かしてセラピストになりました。
ご相談者様と話をしていた時に立て続けにご夫婦の問題で似たような案件を受けたので、色々調べているうちにカサンドラ症候群という名称にたどり着いたのです。あ、これ私のことかも?と気づいた時、ふと当時住んでいた家のつくりや家具といった光景がかすみの中からゆっくりと、10年ぶりくらいに、すううぅっ…蘇ったのです。
ここで当時の感情も再現されたら、いわゆるフラッシュバックが起きて動転したのでしょう。
ところがその光景を遠くから見ているような感覚でした。あれ、なにこれ。…みたいな(笑)
そうか克服するとはこういう事なのか、と実感しました。そう、あの時結構しんどかったはずだぞ・・・すっかり忘れていた。でも思い出しても辛くはない。まるで仕事しながらつけっぱなしで流れてるテレビドラマが時々目に入るるかのような感覚です。
長いこと、かつての結婚生活を忘れていたのは頑張って忘れようとしていたのではなくて、当時の『辛い感情』が消滅していたために再現できなかったのですね。改めてエモーションフリーの効果を実感しました。
時間をかければ辛い出来事はある程度忘れていくことができます。人間関係を断って当事者が目の前にいなくなれば、思い出さずに済みます。
ただこれだけでは克服したとは言えないのです。
時間は記憶に蓋はできても感情にゼロにする能力はないのです。
感情に蓋をするのではなく水蒸気のようになって身体から引き離す、という表現がエモーションフリーには合っていますかね。フラッシュバックの引き金はあらゆるところにあります。似たような人、似たような音、似たような匂い、似たような感触…でもその引き金に反応しなければ平和です。
サバイバーさんの中には、今、ご友人など周りに自分を支えてくれる人がいる事を実感しているからこそ、過去の人間関係を蘇らせずに済んでいるのだろうと思います。ただ「いつかこの関係が消える不安」を感じることがあれば、その状態は完全にゼロにした方がいいでしょう。不安は大きくなるほど現実化します。
特に毒親問題の場合。親は年老いていきます。絶縁していたのに介護しなければという状況になって、フラッシュバックを起こして苦悩する方もいました。せっかく忘れていた憎悪を復活させるのは自分のためにいい状態ではありません。
あなたは真のサバイバーですか?