カサンドラ症候群だとわかったら、安心した。でもそこからが本当の始まりです。

「これはカサンドラ症候群なのかもしれない」
そう気づいた瞬間、多くの方がまず感じるのは、不安よりも安堵です。
「私だけじゃなかったんだ」
「同じように苦しんでいる人が、こんなにたくさんいたんだ」
名前を知るということは、それだけで大きな救いになります。人は誰しも、自分の苦しみが「名もなきもの」であるうちは、それをどう扱っていいのか分かりません。名前がつくことで、ようやく自分の感覚が輪郭を持つのです。
これは、人間にもともと備わっている性質でもあります。何もない荒野にたった一人でいるより、雨風をしのげる家の中にいる方が安心する。カサンドラ症候群という言葉は、多くの方にとって、そうした「帰れる場所」だったのだと思います。
安堵が、少しずつ不安に…
ところが、安心を得たはずなのに、カサンドラ症候群について、あるいはパートナーの特性について調べれば調べるほど、今度はその安堵が不安へと姿を変えていきます。
「本当に自分はそうなのだろうか」
「もっとひどい人もいるのに、自分が名乗っていいのだろうか」
せっかく取り戻しかけた安心が、また揺らいでしまう。多くの方が、まさにこの段階で苦しくなっていきます。
ご相談から:「あなたは本当のカサンドラじゃない」と言われて
ある方のお話です。
彼女は日々辛いことはありましたが、できることなら、これからも二人でうまくやっていきたい。ご主人の特性を、もっと理解したい。そう願って、同じ悩みを持つ人が集まる自助会に参加されました。
けれど、その場に集まっていたのは、解決したいというよりも「ただ愚痴を吐き出したいだけ」——そうした前提で集まっているようでした。
周囲が夫の愚痴と批判で盛り上がる中、彼女は「夫とうまくコミュニケーションをとる方法をさがしています」と自己紹介をした途端、「そんなこと考えるだけ無駄。あなたは本当のカサンドラ症候群じゃない」と言われてしまったというのです。
本当のカサンドラ症候群ではない…?私もその話を聞いて違和感がありました。
どうもその会に、傾聴力のある方はいなかったようですね。
もちろん、すべての自助会がそうだというわけではありません。いろいろな場に触れてみることは、大切なことです。
ただ、この出来事には一つの意味があると思います。彼女自身が「自分の悩みはどちらの方向を向いているのか」に、はっきり気づくきっかけになったのです。その意味で、これは決して悪い経験ではないのです。
「あなたはカサンドラ症候群だ」でも「あなたはカサンドラ症候群じゃない」でも、その言葉を受け入れて、それで楽になれるならそれでいい。でも、それだけでは、あなたの中にある本当の悩みは、何一つ解放されていない。
これも大切な気づきです。
今のあなたの位置は「始まりの始まり」
たまたま出会った「カサンドラ症候群」という名称が、自分の状態にしっくりきた——その瞬間は、ゴールではありません。むしろ、本当のスタート地点です。
そこから、あなたが向き合っていくべきことがあります。
パートナーのどんなところが、自分は気になっているのか。
自分は何を「問題」だと感じているのか。
お互いに、何が足りていないのか。
これらに向き合っていくことこそが、次の一歩です。診断名にたどり着くまでの道のりは、いわば全体の入り口にすぎません。ここから先にこそ、あなたの人生を取り戻していくプロセスがあります。
放っておいて何かが変わることはありません
「いつか、どうにかなるだろう」
そう思って時間が過ぎるのを待っていても、何一つ解決はしません。もしかしたら1年後には、お二人は今よりずっと分かり合えているかもしれません。けれど、その保証はどこにもなく、20年後も同じ場所で同じ言葉を口にしている可能性だってあるのです。
だからこそ、動き出すのは早い方がいい。
診断名が自分に合うかどうかを確かめることに時間を使うより、今、あなたの中にある本当の感情と向き合うことから、始めてみませんか。
今の状態を整理する第一歩として、カサンドラ症候群チェックリストをご用意しています。



